ネット書店で注文

紀伊國屋BOOKWEB
amazon.co.jp
honto
7ネットショッピング

英国のスクリーン・アート(映画などの視覚芸術)や英語圏の文学作品を中心に、「灰の都」「緑の園」のシーンを回想し、それらを旅の「水面」の記憶に繋ぎ、観想する──人間理解を深めるこれまでにないアートの思索。

ジャンル
一般・その他  
サブタイトル
水面と英国スクリーン・アート観想
タイトル
灰都と緑園
著者・編者・訳者
栂正行著
発行年月日
2023年 9月 29日
定価
2,200円
ISBN
ISBN978-4-9907755-7-5 C0070
判型
四六判並製
頁数
192ページ

著者・編者・訳者紹介

著者◉栂正行(とが・まさゆき) 東京都立大学大学院博士課程中退、同人文学部助手を経て、中京大学教養部、国際教養学部、大学院文学研究科各教授、エクステンションセンター所長などを歴任。現在、同大教養教育研究院教授。 著書に『継承と共有』、『抽象と具体』、『創造と模倣』、『引用と借景』(いずれも三月社)、『絨毯とトランスプランテーション』(音羽書房鶴見書店)、『コヴェント・ガーデン』(河出書房新社)、『刻まれた旅程』(共編著、勁草書房)、『土着と近代』(共編著、音羽書房鶴見書店)、『インド英語小説の世界』(共編著、鳳書房)など。 訳書に『タロット』、『魔術の歴史』、『黒魔術』(いずれも河出書房新社)、『風景と記憶』(共訳、河出書房新社)、『中心と発見』(共訳、草思社)、『モダンの五つの顔』(共訳、せりか書房)、『性のペルソナ』(共訳、河出書房新社)などがある。

内容

第一章 緑色と灰色
第二章 記憶の水面─ヨーロッパ諸都市の水
第三章 映画の色
第四章 批評と鑑賞─植草甚一の仕事から 第二次世界大戦以前から一九五○年代までに作られた作品群
第五章 スウィンギング・ロンドン ロンドンを中心とした一九六〇年代作品群
第六章 映画化された古典を観る 時代を越える文芸作品
第七章 物語への郷愁
第八章 緑という言語

目次

【目次より抜粋】
◉緑のメタフィクション─『つぐない』[小説家となった妹]
◉緑の抵抗─『ピータールー:マンチェスターの悲劇』[帰還兵]
◉庭園を造る─『シェイクスピアの庭』[劇作家]
◉灰色の都市の相剋─『狼たちの処刑台』[退役軍人]
◉屈服しない色─『ウィンストン・チャーチル』[政治家]
◉スウィンギング・シックスティーズ─『ラストナイト・イン・ソーホー』[学生]
◉グウィネヴィアとアーサー王の映画群─『キング・アーサー』
◉ジェイン・オースティン作品の映画─『マンスフィールド・パーク』
◉ジョージ・エリオット作品の映画─『ミドルマーチ』[慈善家、治安判事]
◉E・M・フォースター作品の映画─『ハワーズ・エンド』とエマ・トンプソン
◉ディケンズ・ワールドの映画と職業─『われらが共通の友』[廃棄物収集業]
◉ディケンズ・ワールドの働きたがらない人々
◉さらにイギリス文学とその映画─コリンズ、ブロンテ姉妹、ハーディ、キプリング
◉階級差と言葉の習得─『マイ・フェア・レディ』[花売り娘]
◉「もし」を自分のなかに探す─『日の名残り』[執事]
◉植草甚一「シネマディクトJ」
◉Jの街と都市を歩き巡る
◉Jのニューヨーク
◉映画批評とカノン
◉イギリス─テムズ川
◉ポルトガル─テージョ川
◉フィレンツェ─アルノ川
◉ローマ─テヴェレ川
◉ヴェネツィア群島
◉雨のアジア
◉緑と車窓の経験
◉緑の言語世界から

【本文より】
「映画であれば、その作中人物、その仕事、その生活環境、そしてその色彩感覚は、作品を作った人々の人間理解の仕方を語る。幸福や理想について映画を通して考えるのは悠長に過ぎると言われもするだろうが、そのありようだけはおさえておきたい」
「緑の世界は一見、人を招き寄せるかに見えるものの、時に見たくないものは見ないでおこうという感情と結びつくこともありうる。他方、灰色の世界は死と背中合わせというほど深刻な側面を持ちつつも、そこに一条の光がさしているということもある」