鶴舞園の庭に入ると同時にその美しさにしばし立ち止まる。
そういう庭はそうあるものではない。
ふとわれにかえり、庭の高低差を楽しみながら移動する。
建物に入り、今度は中から庭を眺め、もう一度、庭の美しさに目を奪われる。
入口近くの灯籠を覗き込むと、鳥海山が見える。借景だ。
(2017年9月上旬|山形県酒田市)
当記事は書籍『引用と借景』に関連した旅と風景、印象を著者の許可を得て公開しています。
記事内容は紙の書籍内には含まれていません。
『引用と借景 文学・美術・映像・音楽と旅の想到』(栂正行著)
アートを追って人はどこに到着するのか。
鉄道を乗り継ぎながら思索の糸で縦横無尽にアートを連結。
各地のパブリック・アート、美術館・博物館・文学館などを訪ねつつ、
文学・美術・映像・音楽を参照、
モノ・ことば・こころの関係を問いながら、
作品に見られる「引用」と「借景」の営みをたどるアートの意味論。