名古屋市美術館(引用と借景の旅⑧)

名古屋市美術館に来るたびにこの空中に引用されたかの男を見ることすでに三十余年。
あらためて引用という観念を頭におき常設展を見直すと、ディエゴ・リベラの「プロレタリアの団結」、三岸好太郎の「海と射光」、赤小川源平の「あいまいな海」シリーズと、この用語の奥行きの深さに思い至る。

名古屋市美術館

文・写真|栂正行

名古屋市美術館


当記事は書籍『引用と借景』に関連した旅と風景、印象を著者の許可を得て公開しています。
記事内容は紙の書籍内には含まれていません。

『引用と借景 文学・美術・映像・音楽と旅の想到』
『引用と借景 文学・美術・映像・音楽と旅の想到』(栂正行著)

アートを追って人はどこに到着するのか。
鉄道を乗り継ぎながら思索の糸で縦横無尽にアートを連結。
各地のパブリック・アート、美術館・博物館・文学館などを訪ねつつ、
文学・美術・映像・音楽を参照、
モノ・ことば・こころの関係を問いながら、
作品に見られる「引用」と「借景」の営みをたどるアートの意味論。