起点としての80年代 -『創造と模倣』の旅①

2019年早春、静岡県静岡市で現代美術を歴史化するかの企画展が二つ並んだ。
ひとつは静岡駅前の交通至便の極み、静岡市美術館の1980年代を俯瞰する企画(「起点しての80年代」)。
1980年代があって21世紀の今がある、あるいは今は1980年代をとっくに凌駕しているという議論。
これに静岡県立美術館の1968年のアートに焦点を当てた企画展(「1968年 激動の時代の芸術」)を加えると、1968年、1980年代、今の三つの時が絡み合う。
アートの世界に見る新旧論争的な語彙で語れる状況(『創造と模倣』84頁「古くからあるアポリア」参照)を、東京から、名古屋から1時間のところで理解できる。

中原浩大の「金椀」(静岡市美術館「起点しての80年代」)

中原浩大の「金椀」。
器を風呂釜以上の大きさに拡大し、
黄金の茶室ならぬ黄金の器に仕上げた、
目を釘付けにする作品。
奥は「夢殿」。
(静岡市美術館)
文・写真|栂正行

『創造と模倣 移動芸術論』(栂正行著)
『創造と模倣 移動芸術論』(栂正行著)

ノーベル文学賞受賞者カズオ・イシグロ、
V・S・ナイポールの作品世界に投錨し
創造の航路をつぶさに描き出す。
創造と模倣の関係を幅広く問う論考。

当記事は書籍『創造と模倣』に関連した旅と風景、印象を著者の許可を得て公開しています。
記事内容は紙の書籍内には含まれていません。

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